またしても恐怖の夜だった。


今シーズンに入ってから何度目だろうか。

アイスタに響き渡るのは歓喜の雄叫びじゃなく、悲鳴にも近い叫び。

自陣のゴールに向かってシュートが放たれるたびに、スタジアム全体に悲鳴や怒号が響きわたり、危うく失点を免れた時には安堵のあまりのため息がもれる。

何千人のため息だ。

何千人の怒りや悲しみや苦しみの入り混じったため息が、スタジアムに響き渡るのだ。

当然選手にだって聞こえているだろう。

選手じゃなくたって萎える。



1stステージを最下位という最悪の形で終え、先週末から始まった2ndステージ。

どっかのマメなひとかどっかの偉いひとか、誰かわからないけど誰かが調べた結果(←超曖昧)、エスパルスが残留するためには、2ndステージで9勝くらいしないと相当に厳しいらしい。


え?9勝?

1stステージに3勝しかしてないのに?


…って感じですよ、正直。


しかも、今回、前半勝てた数少ないチームの中の1つの神戸との対戦だったにも関わらず、0-5という大敗。確かに前回はマルキもレアンドロもいなかったし、この試合を見ると、この2人にやられちゃったなぁという感はありますけども。

それにしても、相手のメンツ云々の前に、自滅した感も否めない内容だった。

正直、「これはJ1のレベルのサッカーではない」とすら思ってしまった。


試合開始直後からばたつく守備陣。

早く落ち着かせないとやばいよーと思ってるうちに前半7分で失点。

立て直すこともできないまま19分に2点目やられ、それでも、前半のうちに1点でも返せればまだなんとかなる!と思ったものの、まともな攻撃の形も作れないまま前半終了間際にさらに失点。

前半でまさかの0-3。


「諦めたらそこで試合終了ですよ」って安西先生は言ったかもしれないけど、今はもう、すがりつくためのワラすらも見つけられないくらいに心が折れています。

この試合に関しては、分析する気も起きないというか、分析するまでもなく「監督も選手も迷走していた」としか思えなかった。今のエスパルスの最重要課題は「守備」だと言われてるのに、その守備陣が試合開始直後からずっとチグハグでバタバタしたままだった。


長期離脱していたキャラがこの試合で復帰したのは喜ばしいことだったけれど、同時に、「ケガ明けな上に、先シーズンから全然プレーしてないキャラをいきなり先発で、しかも3バックで使って大丈夫なのかよ?」という不安もあった。

ヤコさんは代表でいないししょうがなかったのかもしれないけど、個人的には、松原くん先発で行って、様子見て途中からキャラでも良かったんじゃないかなと思った。


実際、フクちゃんがラインコントロールをしようとしても、キャラと通じ合ってないなーって感じる場面が何度もあった。フクちゃんはラインを上げたそうなのに、キャラはあげたくなさそう…という印象で、そもそも、そこの意識が合ってないとしたらものすごく危うい。

戦術的意識の問題なのか、言葉の問題なのかわからないけど、どちらにしたって、やっぱりキャラをいきなりあの3バックに当てはめるのは急ぎすぎなんじゃないの?と思わずにいられなかった。


加えて、犬飼とエダの守備の軽さである。

どちらもとにかく対人の守備が軽すぎる。

簡単に足を出して軽く抜かれ、そのリカバリーも遅い。

エダはもともとディフェンダーじゃないけど、「だからしょうがない」というのはもう期限切れだと思う。

犬飼に関しては、対人の守備見てる限り「ディフェンダー」だとは思えないほどにひどい。

この2人は正直、攻撃的ディフェンダーで、「ほぼ攻撃時々守備」という状況でしか活きないのだと思う。


石毛、金子、竹内という中盤の3枚を見ると、川崎に勝ったときみたいなパスサッカーをしたいのかな…と思ったけど、守備ラインが不揃いでコンパクトにならないから、中盤が必死でプレスかけるとボランチあたりにぽっかりと穴ができてしまい、こぼれをほとんど相手に拾われてしまっていた。

この中盤のメンツはコンパクトサッカーでこそ活きるタイプで、この試合では選手間が遠すぎてろくにパスをつなげられなかった。


そして攻撃陣。

中盤のメンツ見れば動きながらショートパスを足元でつないでビルドアップしていくタイプなのに、ウタカ、ゲンキが止まったままもらおうとするのでどうしても長めのパスになってしまい、相手にカットされるという場面が多かった。


守備、中盤、攻撃陣の、それぞれが全部バラバラである…という印象だったこの試合。

聞くところによると、最近、ポジションごとバラバラの練習を始めたらしい。

だからそれが悪い…という声もちらほら聞いた。

でも、確かにそれに選手がまだ馴染めてない…というのもあるのかもしれないけど、それだけじゃなくね?などと、私は思う。


ピッチで戦ってるのは選手なわけで、試合が始まったら、監督より観客より早く、自分たちが「これはうまくいってない」ってわかるはずだと思うのだ。

一つ失敗をしたら、試合をしながら、その原因と対策を考えるものだと思うのだ。


サッカー界最底辺のおばさんプレーヤーの私ですら、試合が始まった瞬間から頭をフル回転させる。

私はディフェンダーなので、相手のビルドアップの特徴を、攻撃陣のもらい方の癖を、試合をしながら探る。ラストパスがどこから出てくるのか、FWは足元でもらいたいのか、裏取りたいタイプなのか、そういうことを考えながら、同時に試合の流れも見てラインを上げたりポジショニングの修正もする。


彼らはプロだから、そんなのはもう意識しなくても当たり前にやってるのだろうし、加えて、チームが相手の戦術分析をしてるだろうから、事前に対策はしてるはずだと思うのです。

だとしたら、監督の指示通りにやってうまくいかなったときには、選手たち自らがピッチ上で話をしながら修正していくことは無理なのかな?と思う。


ゴトビエスパルスの終盤、「ラインを上げることを要求するゴトビさんに選手たちが逆らって、自分たちの判断で試合をした」というような話をメルマガかネットの掲示板か、どこかで見た。

それが本当だとしたら、それができるなら、この試合も自分たちで考えて、ピッチの中でやりやすいようにやれば良かったのに…と思う。


ど素人の私が思うような簡単な話ではないのかもしれないけれども、ど素人の私がこんな風に感じてしまうほどに選手たちに「この悪い流れを断ち切ろう」という覇気が感じられなかったことが一番悲しい。

この試合で心が折れたのは、5失点というスコアよりも、そこなのだ。


デュークとキャラと村田くん、終盤ピッチに入ってきてモーレツに走っていた水谷くんと航也くらいにしか「闘志」が感じられなかった。


表情とかそういう話ではなく、例えば、ボールロストしたときの攻守の切り替えの遅さだったり、リスタートでまったく急ぐ様子もないところに、そういうのを感じるのだ。

前半、3失点した後の試合終了までの数分間、1点でも返して欲しいという思いで見ていたのに、スローインを急ぐでもなく、さらにはスローインしたボールをあっさり敵に奪われる。

カウンターを恐れてか、残り時間も少ないのに攻撃時に最終ラインでダラダラとボールを回す。

点を取りに行って逆にカウンターを食らう方がまだ「しょうがない」と思える。

だって、これじゃあ「闘ってない」のと同じだもの。


こういうのはもう、「監督の戦術」とか、そういうところ以前の話だと思うのです。


大榎監督に関しては、個人的には彼が就任したときからほぼほぼ期待はしていなかったので「まあ、そうだよね」という感じでしかない。大榎さんが嫌いなわけではないし、ゴトビさんの方が良かったとか、そういう話でもなく、Jでの監督経験がない人を「救世主」的に担ぎあげること自体にものすごく疑問があったし抵抗があった。


大榎さんが監督をしていたころの清水ユースは確かに強かったけれど、同じメンバーで3年間やれるユースと、選手がころころ入れ替わるプロチームのサッカーとは違う。プロチームの監督経験がないのにゴトビさんのやり方を全否定する大榎さんにもものすごく不信感があったし、監督としての手腕が未知であるにもかかわらず、「大榎が来たからもう大丈夫!!」という空気を作り出そうとするクラブやサポ、「サッカーが楽しくなりました!」なんて言ってる選手がいることにものすごく不安を感じた。


正直、あのときのクラブの判断が今の状況を作ってしまったのだと思っている。

本当に、今さら言ってもしょうがないとわかっていながらもここでも何度も書いてるけど、あのタイミングでゴトビさんを解任した意味がいまだに理解できないでいる。


しつこいくらいに何度もいうけど、ゴトビさんに未練があるとかそういう話ではない。


ゴトビさんに契約満了まで任せて、その間、監督の人選にじっくり時間をかければ良かったのに…と思うのだ。「それじゃあ遅い!」という意見も当時多く見かけたけど、とにかくゴトビさんを解任することにみんな一生懸命になって、大慌てで大榎さんを担ぎ上げた結果が今のこのザマじゃないか…などと思ってしまう。


そういう意味ではぶっちゃけ、大榎さんも犠牲者なんじゃないか?とすら思えてくる。

せっかくの清水のレジェンドが、監督としてのキャリアをこんな悲惨な状況からスタートすることになってしまった。どっちにしろJ2に落ちるなら、ゴトビさんが落としたJ2を大榎さんが引き継ぐ方が、まだ大榎さん的にもやりやすかったんじゃないか?などと思う。

だいたい、ゴトビさんが解任された頃よりもさらに今の方がひどい状況なわけで、今となっては「あのままゴトビさんが最後までやっても降格しなかったっしょ」とすら思える。


あのとき、一部のサポが「ゴトビさん解任署名」を集めたり、解任についてのアンケートを集めたりする運動をしていた。私の知人などは、ゴトビさんがどういう人かもエスパルスがどういう状況なのかもわからないのにもかかわらず、「名前書いてと頼まれたから書いちゃった」などと言っていた。

それはサポの仕事じゃないでしょ、と思う。


何を思ってこういう運動をしていたのかなぁと思うし、これをやってた人たちは今どんな風に感じているのか…と思う。彼らの運動がクラブの決断に影響したかどうかは知らないけど、これによってサポの気持ちがバラバラになったのはまぎれもない事実だし、サッカーに興味ない人に興味を持ってもらうように、サッカーの面白さを、エスパルスの応援の楽しさを伝える運動をするならともかく、何も知らない人をチームのゴタゴタに巻き込むようなことをするなんて、それは本当にサポートですか?と聞きたい。


今はもう、こんな風にサポがバラバラになってるときではないと思う。

選手もクラブもサポも、みんながバラバラになってたら間違いなく残留はできないだろう。

スタジアムで怒る人もため息つく人も泣く人も、みんなみんなエスパルスが好きで、エスパルスのJ1残留を願ってる人たちで、その思いはみんな共通しているんだから、そこの思いだけでもみんなで一つになれないのかなぁ…と思う。思うだけで、どうしたら良いのかは全然わからない。

だから、自分にできることをただ精一杯やろうと思う。


スタジアムに足を運んで、声援を送る。



私にできることは、ただそれだけ。