感動の大勝利から2日たちました。
土曜日のホームアイスタで、それまで5戦負けなしだった川崎フロンターレに5-2で快勝。
夢のようでした。
試合中、真剣に「これは夢かな?」と思った。
正直、「勝てるわけない」と思っていた。
その前の水曜日のナビスコカップでは、再びヤングエスパルスがめちゃくちゃ楽しいサッカーを見せてくれて、その上今回は勝利をサポにプレゼントしてくれて舞い上がったけれど、これまでの流れで考えれば、そうやって舞い上がって夢みたあとにリーグ戦でどん底に突き落とされるパターンだったわけで、今回も同じく…なんだろうな…と思ってたわけです。
スラムダンクの安西先生は「諦めたらそこで試合終了ですよ」と言ったらしいですが、私はスラムダンク読んでないので、「いやもう、川崎に勝つとか無理でしょ」と、すっかり諦めておりました。
「諦めたけど試合終了してなかったよ?」と安西先生に言いたいです(そういうことじゃない
ナビスコの、ほとんど消化試合になってからの2試合では、今年プロ1年目の水谷、宮本、北川、松原はじめ、普段あまり出場機会のない若手を起用して、主力組とはまったく違うサッカーを展開しました。
サイドからの攻撃と、縦への放り込みが多めの主力組のサッカーに比べ、若手のサッカーはライン高めのコンパクトなエリアの中で、前線からのプレッシングで高い位置でボールを奪い、ショートパスをつないで崩していくサッカー。スタイル的にはちょっと前に全世界的に大流行した(笑)バルサっぽいパスサッカーですが、これがハマったら当然めちゃめちゃ面白いし、金子、水谷、善朗、石毛あたりは、まさにそういうサッカーにぴったりのプレースタイルですから、本当に面白かった。ナビスコの名古屋戦では結局負けたけれど、それでも面白かった。
このナビスコ名古屋戦を見たとき、大榎さんがやりたいのは、本当は若手のやってるこのサッカーなのかな?と思った。主力がやっているサッカーは、監督の理想形ではなくて、主力組の選手を活かすための現実的な形なのかな?と。
まあ、私の解釈が正しいかどうかはわかりませんけども。
ただ、そう思ってしまった時に、監督の理想としている形と、実際に主力組がやってる形がかけ離れていることに不安を感じずにいられなかった。
そもそも、トップのメンバーは誰がどう入れ替わっても同じサッカーができなきゃ困るわけで、FWのプレースタイルによって入れるボールの形が変わる程度のことはあっても、サッカー全体が変わってしまうようでは色々と問題があると思うのです。
実際、湘南戦の時には、その前のナビスコで良い動きをしてた善朗や金子くん、航也を途中から起用したけど、水曜日の試合のときほど彼らのプレーは活きなかった。水曜の試合のときとパススピードやパスが出てくるタイミングが違って、コンビネーションがいまいち合わなかった。
そりゃそうですよ、サブ組のサッカーはライン高めでコンパクトだから選手間の距離が近いけど、主力組は最終ラインと前線の距離が遠目だから味方が遠くてワンタッチでボールさばくようなプレーができないし、パスもらう方もそういうタイミングで準備してないし。
逆に、ナビスコの名古屋戦のときには、ゲンキや竹内など普段の主力組が途中から入った途端、ゲームスピードが急に落ちてしまってチグハグな感じになってしまった。
ゲンキや竹内は普段のサッカーでは必ずワントラップして状況見てからボール出すというスタイルなので、パス&ゴーでボールを回していくサブ組のサッカーの中では、その流れをしばしば止めてしまっていた。
もちろん、時間とともにだんだん順応して徐々に馴染んではいたのだけど。
こんな風に、交代選手が馴染むまでに時間がかかるようでは、これはマズいんじゃないかな?という危機感を感じずにいられなかった。
サブ組のパスサッカーが面白いから、こっちのメンツで、このサッカーをメインにこの先戦っていけばいい…という意見もチラホラ見かけたけど、このサッカーの本家のバルサですら、今はこのサッカーをしてないのを見ればわかるように、パスサッカーはすでに世界中で研究されまくって、対策されまくっているわけで、このサッカーで行き詰まったときに違う戦い方ができなければ厳しいのです。
ぶっちゃけ、大榎監督はいつも「プランB」を用意していない…という印象が私の中にはある。
最初にこういう形で戦うけど、これが封じ込められたときにはこういう風に…という、次の手がない気がするのだ。
いや、用意してあるかもしれないし、用意してあっても選手ができないだけかもしれないし、本当のところはわからないけども。
今回の川崎戦に関しては、前回大敗した湘南戦のときと同様、いつもの主力組に、ナビスコで良かった選手を数名入れての布陣となって、正直、「また湘南のときみたいにいろいろうまくいかなくて大敗するんじゃ…」なんて不安が頭をよぎったけれど、試合が始まってみたら、まさに、水曜日のあのパスサッカーだった。
中盤に運動量の多い水谷くんが先発で入ったのも大きかったと思うけど、個人的には、CB起用された福村のラインコントロールが絶妙だったのだと思う。
中盤に運動量の多い選手をおいても、ラインが低めで中盤が広すぎたら、中盤の選手はただ無駄に走り回らなきゃいけなくなって、結局どこかにぽっかり穴が開いてしまうわけで、守備陣がラインを高めに保ってプレーエリアをコンパクトにしてくれてこそ、選手間が近くなってショートパスがつながるようになるのだ。
選手間が近いから、普段タッチ数多めのゲンキや竹内も、この試合ではワンタッチプレーが多かった。
1点目のウタカのおしゃれゴールをアシストしたエダも、サイドで自分が一度ボールを預けた後、そのまま足を止めずに中に切れ込んで再びボールを受け、そこから素晴らしいクロスを中に入れている。
エダがSBで起用されたばかりのころ、ワンプレーで足が止まるのがものすごく気になっていた。
以前のサッカーだと、ワンツーでボール受けるほど選手間が近くないから、余計に次にもらうという意識がなかったのかもしれないけど、運動量を必要とするウィングバックで、オフザボールの動きが全然ないエダを見て「この起用に不満があるのかな」と思ったりもしていた。
でも、1試合ごとにエダは進歩している。最初のころより、ディフェンスの仕方もうまくなったと思う。
相変わらず後半になると走れなくなるけど、前半45分はよく走り、攻守にわたってめちゃめちゃ効いている。
この試合の2点目の、憲剛に顔を蹴られながらのダイビングヘッドを見ても、「以前より気持ちの入ったプレーをしているな~」と感じた。何かがエダの中で変わったのかな。ウィングバックにやりがいを感じ始めてるのかな。
エダのようなベテランの選手が気持ちの入ったプレーを見せることが、今のエスパルスにはすごく大事だと思う。
水曜日のナビスコでは、なかなか出場機会のなかった加賀美君が決勝ゴール決めてヒーローになって、この試合では加賀美君と同期の石毛君が2ゴールを決める大活躍をした。
決してユース至上主義ではないのだけど、やはり、小さいころからエスパルスに入ることを夢に見ながら頑張ってきた子たちが活躍するのは嬉しい。
それと同時に、外国人選手と日本人選手が上手くいってないんじゃないか?という噂がチラホラ聞こえてた中で、ウタカが2得点してチームみんなで喜ぶ姿が見れたこともまた、本当にうれしかった。
この試合は、最初から最後までサッカーの形を変えることなく、すべてがうまくいった。
だから流れを変える必要もなく、運動量が落ちたな…と思われるところにフレッシュな、同じタイプの選手を置き換えていくだけでよかった。
だけど、相手がいろいろ対策してきてうちがボールを持てなくなったとき、監督はそれに対する策を持っているんだろうか?…という不安が試合中ずっと私の頭にはあって、正直、スコアが3-1になってもまだ全然安心はできなかった。ただ、本当にメンタルの影響って大きいなと感じたのは、味方がゴールするたびに、少し走れなくなってるな…と感じてた選手がまたモーレツに走り始めること。
1試合通して選手全員がさぼらずに走っていたことが、この試合の勝因だろうなと思う。
裏を返せばそれは危うい。
うまくいかなくなったときに足が止まってプレスがゆるくなったら、ディフェンス勝負では相変わらず脆い気がする。中盤から前がモーレツプレスをかけてこそ、このサッカーが成り立っているのだと思う。
そういう意味では、今回大勝したからといって、「これで調子が上がるぞー!」なんて簡単には思えないのだけど、それでも、この勝利は間違いなく選手たちの自信になっただろうし、この先に希望の光が見えてきたのは事実だ。
メンタル面の影響力で言えば、スタジアムに岡崎が来てくれたことも、かなり選手たちにとって刺激になったのだと思う。
岡崎の移籍に関しては、エスパサポの中でも色々な考え方、受け止め方があると思う。
ほとんどの人は移籍した時の事情はあまり知らず、元エスパルスの選手という意味で、今も岡崎が好きで、応援している人が多いだろう。移籍した時のいろいろな事情を知っても、気にしない人や割り切って応援してる人も多いとおもう。
でも、私は割り切れなかった。
ずっと、許せなかった。
裏切られたという気持ちがあって、エスパルスを出てからの岡崎をずっと応援できなかった。
それは、エスパルスにいた時の彼が大好きだったから。
初めて彼を見た時、正直「なんて下手なんだろう」と思った(笑)
今やドイツで活躍する日本代表の岡崎だけど、高卒でエスパルスに入ったばかりの頃の彼は、ただただ泥臭いだけの、技術はないけど気持ちだけでサッカーやってる…みたいな選手だった。
そんな彼が、どんどん成長していくところをずっと見てきた。
人知れず相当の努力をしていたのだろう、ひょろひょろだった体もどんどんがっしりとしてきて、足もどんどん速くなって、代表に呼ばれるようになった頃には、代表で試合に出なくても、練習参加して帰ってくるだけでも、目に見えて上手くなっていた。
当時、私自身がサッカーを始めたばかりだったこともあって、みるみる成長していく岡崎の姿に常に励まされていた。レベルは全然違えど、「頑張れば成長できるんだ」と、勇気をもらってた。
でも、岡崎のその頑張りが、エスパルスのためではなく、結局自分のためだったのか…と、あの移籍騒動で感じてしまったのだ。チームを裏切ってまで、自分のステップアップを取った…と、そう感じてしまった。
今思えば、ある意味それはサッカー選手としては正しい選択だったのだと思う。
もともと清水には縁もゆかりもなかったのだし、サッカー選手としてより高いレベルでやれるというチャンスが目の前にあるなら、それに乗っかるのがプロってもんだ…と、今の私なら思えるのだけど、当時はただただ、「クラブを、サポを裏切ってまで海外に行きたかったのかよ…」と、悔しくて、残念で仕方なかった。
この移籍騒動でエスパルスのクラブハウスには出入りできなくなってた岡崎だけど、ブログやメディアのインタビューで、エスパルスへの思いを時々語っているのを見て、彼の心にもずっと引っかかっているものがあるのだろうとは思いつつ、私の中では「エスパルスに選手として戻ってきたら、そのときに許してやる」くらいの気持ちだった(←何様だよ)
だから、この試合で岡崎が試合前にトークショーをやってても特に聞きたいとも思わなかったし、「社長が変わってクラブが岡崎と和解しても、私はまだ許したわけじゃないから」くらいに思ってた(←まじ何様)
だけど試合前、岡崎がピッチに出てきて挨拶をした瞬間に、そんな、かたくなに凍っていた私の心が解けた。
「今日は、言いたいことがあってきました。今の僕があるのは、エスパルスのおかげです。」
岡崎の口からこの言葉を聞いたとき、ずっとずっと私の心の奥にあった氷のかたまりが一瞬にして解けた。
涙が止まらなかった(これ書きながらまた泣いてる)
きっと、これをずっと伝えたくて、でも伝えられなくて、岡崎自身、苦しかったんだろう。
ドイツで頑張ることで、その気持ちをエスパサポに伝えようとしてたんだろう。
そんな風に思ったら、泣けてしょうがなかった。
やっぱり岡ちゃん好きなんだな、私。
好きすぎて、許せなかったんだ。
いつかまた、日本平で岡ちゃんのプレーが見たいな。
もちろん、エスパルスの選手として。
今は高すぎてエスパルスには買えないだろうけど(笑)
こんな風に始まった試合だったから、勝てて本当に良かった。
今まで見てきたエスパルスの試合の中で、忘れられない試合ベスト3に入るだろうな(笑)
本当に夢のようで、家に帰ってきてからまた録画見直して、それでも夢のようで(笑)
でも、マッチデーハイライトで次節対戦の浦和が鳥栖相手に6得点と知って現実に引き戻されたわけなんですが(笑)
次のことを考えるとまたいろんな不安に押しつぶされそうになるけど、せっかくなので、賞味期限が切れるまでこの勝利を味わっていたい…と思う、私なのでした。
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