ピッチで起こっては行けないことが、またしても起こってしまいました。

プレミアリーグ第28週。
アーセナルは、アウェイのブリタニアスタジアムに乗り込んでストークシティと対戦。

悲劇は後半20分過ぎに起こりました。

ピッチ左サイドのハーフライン付近で、味方が一度ラムジーにボールを戻し、これが若干イーブンになりかけてラムジーが先にボールを触ろうとしたところに、ストークシティのショークロスがジャンピングタックルをしかけてきました。
ベントナーと相手選手が競り合ったボールが後方にこぼれ、このボールを取りに行ったラムジーとショークロスが勢い良く同時に激突しました。(2/28 17:55 ビデオで確認したところ、状況を間違って把握していましたので訂正しました。)

直後にラムジーがピッチに崩れおち、その瞬間、ピッチは凍り付きました。

カメラはワイドに撮っていたので、一瞬何が起こったのか把握できなかったのですが、ピッチにいる周りの選手たちの反応ですぐに察しました。
あのときと同じ空気でした。

そう、エドゥアルドが大けがをしたあのとき。

いつもなら倒れ込んでいる選手をアップにして映し出そうとするカメラは、接触の直後から一切ラムジーをうつしません。
接触の瞬間のリプレイも一度も流しませんでした。

これだけでもう、ただ事ではないことがわかりましたし、頭を抱えるセスクやヴェルマーレン、さらには一発レッドでピッチを後にするショークロスが泣いている姿を見て、ドゥドゥの時と同じように、ラムジーは誰が見てもあきらかなほどの大けがを負ったのだろうということがわかりました。


にほんブログ村 サッカーブログへにほんブログ村 サッカーブログ 海外サッカーへ
サッカーブログランキングに参加しています!
公式ではまだラムジーのケガの具合は発表されていないようですが、接触直後の映像を見てみると、ラムジーの右足のひざから下のすねの部分が不自然にぐにゃんと曲がっているように見えました。
見間違いかもしれません。いや、見間違いであってほしいと願ってますけど、ドゥドゥの時のことも鮮明によみがえってきて、「ラムジーは今季はダメだろう」という思いが頭をよぎり、気づいたらボロボロ涙を流しながら見ていた私でした。

どうしてアーセナルにばかりこんな悲劇が起こるんだろう。
サッカーってこんなにも危険なスポーツだっただろうか。

ラムジーが救急車に乗せられてスタジアムを後にした後も当然試合は続いてるわけですけども、私は動揺する気持ちをなかなか落ち着けることができなかった。

でも、ピッチに残った選手たちの動揺は、そんな私とは比べ物にならないほど深刻だったでしょう。
どんな気持ちでプレーを続けているのだろう…と思ったらまた涙が出ました。

サッカーでこういう涙は流したくない…とドゥドゥのケガのときに思ったのに、まさかまたこんな悲劇が起きるとは…。ラムジーだからとか、アーセナルの選手だからとかそういうことではなく、どこのチームのどんな選手であれ、ピッチ上ではこんな悲しい出来事を見たくないとつくづく思いました。

試合の方は、ラムジー退場後にガナの選手たちが悲しみを乗り越え、心を一つにして2得点を追加し、3-1でストークシティを下しました。

この直前に首位のチェルシーがマンチェスターシティに負けてますし、この試合は優勝争いについていけるかどうかの大事な一戦だっただけに、勝てたことは素直にうれしいしよかったと思う。
ただ、ヴェンゲルさんもインタで言ってるように、ラムジーのケガが勝利の喜びをも掻き消してしまいました。

ただ一つ言えるのは、ラムジーがあのタックルを受けるまでの試合は、そんなにひどい内容ではなかったと思うんですよね。ひどい…というのは、汚いタックルとか悪質なファウルはそんなになく、割とクリーンで面白い試合だったと思うんですよ。

正直、それPKじゃね?ってエリア内でのファウルを2回レフリーに流されたと思う場面はありましたし、ストークは手をつかってのファウルが多いなぁという印象はありましたけど、足をつぶしにくるようなタックルはなかったと思う。

それだけに、ショークロスのあのタックルは残念で仕方ありません。
あのタックルを「不可抗力」と言うわけにはいきませんし、ラムジーが今季絶望(か、それ以上)なら、たった3試合の出場停止という処分にも納得できない。
でも、一方ではやはり、ショークロスを責めることはできない…とも思うのです。
だって、コレはケンカではなく、サッカーなのですから。

この試合には、ちょうど丸2年前の2008年2月23日、バーミンガム戦でマーティン・テイラーの悪質なタックルにより選手生命をも脅かすほどの大けがを負ったエドゥアルドがベンチに入っていました。

彼は、この状況をどんな気持ちで見ていたのだろう…と思いました。
2年前に、彼はこの試合のラムジーとまったく同じ経験をし、そして今日、あのときのピッチにいる他の仲間達が味わった悲しみを自分も目の当たりにした。
どんな気持ちなのだろう。
あのときの恐怖がよみがえっているのだろうか。
ヴェンゲルさんは彼をピッチに送り出すだろうか…。

色んなことが一気に頭を駆け巡りました。

そして、ヴェンゲルさんはドゥドゥをピッチに送り出したのです。

この時点でスコアは1-1。
ドゥドゥに決めて欲しいと思いました。
ドゥドゥが決めることで、「大丈夫!ラムジーもこうやってまたピッチに戻って来れるから!」と自分を安心させられるような気がしました。

残念ながら得点はできませんでしたけど、入った直後にエリア内ワンツーから大チャンスをつくり、ドゥドゥのこのプレーでチームの士気が再び高まったような気がします。

その後、ベントナーがエリア内にいれたパスが相手選手の手に当たってPKをゲットし、これをセスクが決めて2-1に。ラムジーの処置で7分あったロスタイムの間に、ロシツキのミドルをGKがはじいたところをセスクが拾い、ゴール前へ。そこに入ってきてたヴェルマーレンがこれを押し込んで3-1と突き放しました。

ロシツキのシュートにも、こぼれを拾いにいったセスクにも、これを押し込んだヴェルマーレンにも、「この試合は絶対に負けられない」という気迫が見えた。
ラムジーのケガが起こってしまった以上、とにかく、勝って終わることができて良かった…と心から思いました。

これから選手たちは、ラムジーのケガに関する悲しい報告を聞くこととなるでしょう。
その前に、この試合を勝って終われたことがせめてもの救いです。
「意外に軽かったら良いですね」と倉敷さんも言ってましたけど、あの様子からみて、1ヶ月や2ヶ月で戻って来れるとはとても思えないので、選手たちはその事実をしっかりと受け止め、残る試合の一つ一つを大事にこなして、ラムジーのためにもタイトルを勝ち取って欲しいと思う。

でも、今はただ、ラムジーの一刻も早い回復を祈るばかりです。